着物を洗う3つの方法|部分洗い・丸洗い・洗い張り徹底ガイド
はじめに
着物は美しさを保つために、日々のお手入れと適切な洗い方が重要です。見た目に汚れがなくても、肌に触れた衿や袖口には皮脂やファンデーション汚れが蓄積し、放置すると黄ばみやシミに。ここでは、初心者からヘビーユーザーまで知っておきたい「部分洗い」「丸洗い」「洗い張り」の3つの方法を、特徴や向いているシーン、注意点とあわせてご紹介します。
部分洗い|日常のお手入れとして
- 対象箇所:衿・袖口など肌に触れる部分
- 目的:皮脂汚れの予防、黄ばみ防止
- 手順:
- 着物にベンジンの霧を吹きかけ、ベンジンを含ませる
- ブラシを使用し、手早く表面を軽くブラッシング
- ドライヤーの冷風を使い周りから乾かす
- 風通しの良い場所で陰干し
- メリット:
- 自宅で低コストにケア可能
- こまめなケアで着物の劣化を遅らせる
- 注意点:
- 強く擦りすぎると生地を傷める
- すぐに汚れを落とすのが効果的
🔗 **関連リンク** 以前紹介した動画です。参考になさってください。
ベンジンで着物の衿洗い・基本編
ベンジンで着物の衿洗い・実践編
ベンジンで着物の袖口洗い・実践編
丸洗い|着物を仕立て上がった状態で解かずに洗う
- 方法の種類:ドライクリーニング/水洗い
- ドライクリーニング
- 溶剤:石油系ドライ溶剤を使用
- 適用対象:絹や帯など仕立て上がった状態
- メリット:油性汚れに強い
- 注意点:
- 汗ジミ(水溶性)は落ちにくい
- 溶剤管理が不十分だと匂いや風合い変化
- 水洗い
- 対象:麻・綿・化繊・洗える着物
- メリット:汗ジミや雨ジミがほぼ落ちる
- 注意点:
- 洗濯機の強脱水や乾燥機で仕立てが狂う
- 古いシミは落としきれない場合あり
- おすすめ時期:
- ドライクリーニング:シーズン終わりの保管前、長期保管後
- 水洗い:汗や水ジミがついてすぐ

洗い張り|本格的な再生処置
- 工程:着物を解き、繋ぎ合わせ、反物(一枚の長い布生地)に戻し、水で丸洗い、巾や長さの調整 → 仕立て直し
- 対象:カビ・広範囲シミ、くすみ、古い裏地変色、サイズ直し
- メリット:
- 生地の風合いを整え再活用
- 仕立て直しで体型に合わせられる
- 注意点:
- 期間:1ヶ月〜数ヶ月
- 費用:数万円〜(裏地交換や仕立て含むと高額)
- おすすめ時期:
- 着物歴30年以上の振袖や礼装、着物全般
- 譲り受けた着物
まとめ
着物を長く美しく着続けるためには、状態や目的に合わせて「部分洗い」「丸洗い」「洗い張り」を選ぶことが大切です。
- 日常ケアは部分洗いで、直接肌に触れる衿や袖口の皮脂を洗浄
- 定期メンテナンスには丸洗い、着物を仕立て上がった状態で洗浄
- 本格的な再生には洗い張り、着物を解いて縫込みの中など徹底的に洗浄
それぞれの特徴を理解し、適切なタイミングでお手入れしてください。メンテナンス次第で、思い出の着物が何年も現役で活躍しますよ。
アドバイス:まずは部分洗いを習慣にして、汚れが変色する前にこまめにケアすることが長持ちの秘訣です。
投稿者プロフィール
最新の投稿
着物のアドバイス2025-05-07『着物の保管』畳紙と保護紙について
着物のアドバイス2025-04-23着物を洗う3つの方法|部分洗い・丸洗い・洗い張り徹底ガイド
着物のアドバイス2025-04-09「結婚式の母の装い|留袖の準備と確認ポイントを着物専門家が解説!」
着物のアドバイス2025-03-26着物好き必見!衿のセルフケアにはリグロイン?ベンジン?徹底比較してみた