着物を洗う3つの方法|部分洗い・丸洗い・洗い張り徹底ガイド

はじめに

着物は美しさを保つために、日々のお手入れと適切な洗い方が重要です。見た目に汚れがなくても、肌に触れた衿や袖口には皮脂やファンデーション汚れが蓄積し、放置すると黄ばみやシミに。ここでは、初心者からヘビーユーザーまで知っておきたい「部分洗い」「丸洗い」「洗い張り」の3つの方法を、特徴や向いているシーン、注意点とあわせてご紹介します。

部分洗い|日常のお手入れとして

  • 対象箇所:衿・袖口など肌に触れる部分
  • 目的:皮脂汚れの予防、黄ばみ防止
  • 手順
    1. 着物にベンジンの霧を吹きかけ、ベンジンを含ませる
    2. ブラシを使用し、手早く表面を軽くブラッシング
    3. ドライヤーの冷風を使い周りから乾かす
    4. 風通しの良い場所で陰干し
  • メリット
    1. 自宅で低コストにケア可能
    2. こまめなケアで着物の劣化を遅らせる
  • 注意点
    1. 強く擦りすぎると生地を傷める
    2. すぐに汚れを落とすのが効果的

🔗 **関連リンク**  以前紹介した動画です。参考になさってください。

ベンジンで着物の衿洗い・基本編

ベンジンで着物の衿洗い・実践編

ベンジンで着物の袖口洗い・実践編

丸洗い|着物を仕立て上がった状態で解かずに洗う

  • 方法の種類:ドライクリーニング/水洗い
  • ドライクリーニング
    • 溶剤:石油系ドライ溶剤を使用
    • 適用対象:絹や帯など仕立て上がった状態
    • メリット:油性汚れに強い
    • 注意点
      • 汗ジミ(水溶性)は落ちにくい
      • 溶剤管理が不十分だと匂いや風合い変化
  • 水洗い
    • 対象:麻・綿・化繊・洗える着物
    • メリット:汗ジミや雨ジミがほぼ落ちる
    • 注意点
      • 洗濯機の強脱水や乾燥機で仕立てが狂う
      • 古いシミは落としきれない場合あり
  • おすすめ時期
    • ドライクリーニング:シーズン終わりの保管前、長期保管後
    • 水洗い:汗や水ジミがついてすぐ
泡水イメージ

洗い張り|本格的な再生処置

  • 工程:着物を解き、繋ぎ合わせ、反物(一枚の長い布生地)に戻し、水で丸洗い、巾や長さの調整 → 仕立て直し
  • 対象:カビ・広範囲シミ、くすみ、古い裏地変色、サイズ直し
  • メリット
    • 生地の風合いを整え再活用
    • 仕立て直しで体型に合わせられる
  • 注意点
    • 期間:1ヶ月〜数ヶ月
    • 費用:数万円〜(裏地交換や仕立て含むと高額)
  • おすすめ時期
    • 着物歴30年以上の振袖や礼装、着物全般
    • 譲り受けた着物

まとめ

着物を長く美しく着続けるためには、状態や目的に合わせて「部分洗い」「丸洗い」「洗い張り」を選ぶことが大切です。

  • 日常ケアは部分洗いで、直接肌に触れる衿や袖口の皮脂を洗浄
  • 定期メンテナンスには丸洗い、着物を仕立て上がった状態で洗浄
  • 本格的な再生には洗い張り、着物を解いて縫込みの中など徹底的に洗浄

それぞれの特徴を理解し、適切なタイミングでお手入れしてください。メンテナンス次第で、思い出の着物が何年も現役で活躍しますよ。

アドバイス:まずは部分洗いを習慣にして、汚れが変色する前にこまめにケアすることが長持ちの秘訣です。

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