【友禅の修復方法】
友禅の修復が必要になる原因とは
着物の白い柄、部分に黄色い点のようなシミが現れることがあります。
この様な状態になる原因として考えられることが何点かあります。
多くの場合は、長期間保管されていた際におこるカビによるものですが、紫外線による変色や防虫剤、糸目の糊焼け、膠(ニカワ)の変色も考えられます。
どの様な状態で保管されていたかが原因の特定につながります。
日本の気候は湿度が高く、桐箪笥の様に密閉された状態にあっても一度カビが発生することで、着物全体を変色させてしまうことは珍しくありません。
保管中にお勧めの予防策について
保管中にこの様な原因を作らないためにも、年に一度は虫干しをされることをお勧めします。
また、カビの原因となる大きな要因は高湿度です。
そのため、湿度コントロールを行うことが大切であると考えます。
具体的にお勧めの湿度コントロール方法は、除湿機の使用です。
除湿機は、市販の除湿剤と比べ多くの湿気を取ることが可能です。
保管中の着物には、思っているより多くの湿気が含まれることが多いので注意が必要です。
友禅を修復する上で注意することとは
友禅の中には、水洗いすることで柄や金彩が消えてしまう着物があります。
その様な場合は、事前に写真などのデータを残してから染みを抜き、修復の作業にかかります。
また、友禅作家の作風を壊さない様、どの様な太さの筆を使用して描かれたのか、筆に含ませる染料の量はどの程度か、筆を動かす早さはどのくらいか等考えながら出来る限り現状に近づけて直すことを心がけます。
一つの友禅を修復することで、時間を超えて作家の方がどの様に作品と向き合っていたのか勉強させていただくこともよくあります。
修復をする上で、作風を壊さないことが最も大切だと考えています。
友禅の修復方法
友禅が傷んでしまった原因を推測し除去しなくてはなりません。
まずは洗浄から作業は始まります。
シミの成分の中に蛋白質が固まっている場合は蛋白質分解酵素を使用します。
カビが原因の場合は、生地から菌を洗い出し殺菌します。
この様に、原因となる成分を抽出した後に漂白を行い、漂白により薄くなった染物は部分的に色を挿して目立たないように補正します。
最終段階で、友禅を元の様に描き直し、金彩の修復を行います。
修復事例
顔の白場洗浄、漂白を行い、顔の描き直し
孔雀の白場部分の修復と羽根の細い線の描き直し
白場部分の染み抜き修復
他店での染み抜き跡直し、生地の破損があるため裏地に補強を施し右に扇の一部を追加
白場とピンク、紫地の友禅修復
修復にかかる費用と修復率は
当工房の値段設定は、作業にかかる時間から計算して見積もりをお伝えしております。
また、修復の難易度が上がると料金も同様に上がります。
修復事例に修復率を記載しています。
当工房が目指す修復目標は常に100%ですが、これは新品で販売可能な状態をいいます。
そのため、目に見えてシミが解らない程度まで修復できたとしても、新品として製作された時と比べ生地が痩せているなど、風合いも修復率の目安のひとつとして考えています。
染み抜き・修復
染み抜きは、どの作業を初めに行うかがとても大切です。作業や薬品の使用順序を間違えるとシミが抜けなくなるばかりか、生地を傷めてしまいます。種類別の染み抜き方法について、修復を専門とする当店の考えをご説明いたします。
サービス一覧
きもの工房 扇屋で主に取り扱っている着物修復サービスの一覧です。染み抜き、洗い張り、サイズ変更などお客様のご要望を伺い、お着物に最適なお手入れをご提案いたします。お気軽にお問合わせ下さい。