【着物の悉皆屋】

悉皆屋とは

悉皆という言葉は一般的に聞きなれませんが、着物の世界では昔から使われていました。

それでは、着物業界の悉皆屋について説明致します。

文字としては『悉く(コトゴトく)』『皆(ミナ)』と書かれ『しっかい』と読みます。

悉皆業には、大きく分けて2つの業態があります。

① 最近よく耳にする悉皆屋とは、着物ユーザーの相談窓口です。

「染み抜きをお願いしたい」「サイズ変更をしたい」

または、「染め替えや紋の入れ替えをしたい」

この様な要望を、それぞれの専門の職人へ仕事を振り分けます。

つまり、メンテナンスの知識が豊富な仲介業です。

② もう一つは、業者間を取り持つプロデューサーとしての仕事です。

こちらは、業者間取引を中心に営まれている悉皆屋です。

呉服店で必要な商品を要望に応じて揃え、販売する。着物業界には欠かせない仕事です。

また、問屋・染め屋・呉服店の間に立ち、催事の取り仕切りも行います。

このように着物の販売以外のメンテナンスサービス全般のことを『悉皆』と呼びます。

つまり、着物業界に『悉皆屋』が存在することで、潤滑に着物が動くのは間違いありません。

着物の染み抜き相談は悉皆屋がお勧め
着物の染み抜き相談は悉皆屋がお勧め

染み抜きを依頼するには

最近よく「着物にシミが付いたら悉皆屋へ」と言う話を聞きます。

実際に、間違いではありませんが、悉皆屋がシミを抜く訳ではありません。

悉皆屋は、お客様からお預かりし、染み抜き屋の仲介役を担います。

着物の染み抜きを行う業種は『染色補正業』と言います。

この職業は、危険な薬品を使用する為、国家検定試験の制度があります。

つまり、染み抜き屋に直接染み抜きを依頼したい場合の確認する事は一つです。

それは、『染色補正技能士が在籍していますか?』と聞くことです。

なので、この様にすれば『悉皆屋』か『染み抜き屋』が判ります。

ちなみに、『悉皆士』という公的な資格はございません。

悉皆屋の種類と店選び

適切な悉皆屋を選ぶことによって、安心して着物のメンテナンスの相談をすることが出来ます。

悉皆を扱う店舗数として呉服販売店が一番多いと考えられています。

呉服販売店は、問屋やそれぞれの職人との繋がりがあり着物の知識が豊富です。

呉服販売店の悉皆・メリットとデメリット

メリットとしては、呉服店では他に必要なアイテムがその場で揃うことが多く、新しい着物との出会いがあるかもしれません。悉皆を依頼する内容も充実し、着物全体のコーディネートも可能な店舗が多くあります。

デメリットとしては、作業の詳細や料金が確定しにくいことが有り、依頼から納品までの期間に余裕が必要となります。また、店舗によりますが、販売が主であるため着物の営業をされる場合もあります。

当工房を含め、職人が営む悉皆屋があります。

直接作業を行う職種の職人に色々話を聞き相談できます。

「染色補正士」「和裁士」「洗い張り」「着付師」「染め屋」「紋章店」等数多くの職人の経営する店舗で悉皆を受け付けています。

着物職人の悉皆屋・メリットとデメリット

メリットとしては、依頼したい作業の職人と話しが出来る為、柔軟な相談が可能でレスポンスが速く料金についても的確に提示することが出来ます。当工房の様に職人職種の多い店舗は多くの相談が可能です。

デメリットとしては、着物の販売在庫が少なくその場で着物の購入ができない場合が有ります。

当工房には、染色補正士・和裁士・洗い張り職人・着付師の職人が在籍しております。

悉皆屋選びのまとめ

○購入を選択肢に入れて相談する場合には呉服店を選ぶと良い。

○希望する依頼内容に近い業種が営む悉皆屋を選ぶと良い。

○悉皆士という資格は公的に存在していない。

サービス一覧

サービス一覧

きもの工房 扇屋で主に取り扱っている着物修復サービスの一覧です。染み抜き、洗い張り、サイズ変更などお客様のご要望を伺い、お着物に最適なお手入れをご提案いたします。お気軽にお問合わせ下さい。