【着物の丸洗い】
着物のクリーニングについて詳しく解説
丸洗いとは
「丸洗い、生洗い、京洗い」とも言われる着物のドライクリーニング加工です。
石油系溶剤を使用し、着物を解かずに仕立て上がりのまま洗う洗い方です。
きもの工房 扇屋の「丸洗い」はベンジン等の有機溶剤を使用し、着物を傷めないように生地目を整え手作業により汚れた部分を洗った後、殺菌・消臭効果の高い「オゾン」を溶け込ませたドライ溶剤によりドライクリーニングを行います。
衣替え時の季節のお手入れ、洗い張り迄のコストを掛けたくない方、油性の染みが多く見られる着物、長期間箪笥に仕舞われ、湿気やカビによる古い臭いが染み込んだ着物などに有効です。
また、染み抜き後、薬品や石鹸を洗浄するために必須作業とさせていただくこともあります。
丸洗いの後も臭いが残る場合は、高濃度オゾンによって消臭します。
「丸洗い」の重要な点は、ドライ溶剤の管理です。
水分や石鹸を含んだ溶剤で着物を洗うと、色泣きや仕立てが狂う可能性があります。
当工房では、ドライ機械の中から極力水分を排出し、洗剤を入れずに洗います。
これは着物専用の機械だからこそ可能な作業です。
ドライ溶剤の中には溶解力が強く着物生地に負担を掛け弱らせてしまうものもあります。
また、丸洗いをした後にドライクリーニング特有の臭いが残るものもあります。
当工房では、さまざまな種類がある溶剤の中でも着物に合う最高品質のものを使用しています。
乾燥はドラム式乾燥機を使用せず、室内(暗室)にて着物用ハンガーを使用し行います。
この様にきもの工房 扇屋の丸洗いでは手間をかけることにより着物に負担を掛けずに仕上げています。
振袖や留袖、訪問着など着用頻度の低い着物は、染み抜きと合わせて丸洗いをしてから保管するのがお勧めです。
着物のドライクリーニング
丸洗いの料金が各店舗により異なるのは、使用する溶剤に理由があります。
溶剤には数多く種類があり、その原価格は1Lあたり93円~183円と幅があります。
その違いは、丸洗い後の独特の臭いです。
有機溶剤の独特の匂いが着物に残っていたら、それは着物から溶剤が完全に抜け切っていないということですので、安い溶剤を使用している可能性があります。
一般的に使用されるドライクリーニング溶剤の匂い値は5.0の物を使用するようですが、当店は0.1の最上クラスを使用しておりますので、丸洗い後の臭いは殆どありません。
仕立てがくるう、風合いを損ねる可能性
丸洗いをすると仕立てがくるうと言う話を聞きます。
この原因はドライ機械内にある水分が原因です。
扇屋では水抜き剤を使うのではなく、吸水素材の生地を機械に入れて、毎日徹底的に水分を抜くことで、着物の風合いを損ねないよう配慮しております。
この作業で一番重要なのは、溶剤の管理です。
汚れた溶剤で洗うと、落としたはずの汚れが再び着物に移ってしまいます。(逆汚染と呼ばれる状態です)そのため、同じ溶剤の連続使用は行いません。また、使用する溶剤やその配合にも配慮しております。
例えば、油脂溶解率の高い溶剤を使用すれば汚れが綺麗に落ちますが、生地が痩せたようになってしまいます。また、洗剤を入れることにより汚れが落ちやすくなりますが、ネトッとした手触りになり、丸洗い後にベンジンを使うと輪ジミになります。
洗剤の量が多いと着物に洗剤が残ったまま洗い終わることになります。これらも溶剤管理の大切なポイントと考えております。
オゾン洗い
食品の殺菌等にも使用されるO3(オゾン)は、カビや尿素の分解に効果を発揮し、残留しません。
扇屋の丸洗いは基本的にオゾンを混ぜた溶剤を使用して洗っています。しかし、着物の染料の中にはオゾンと反応を起こし染料が滲み出るものがあります。
そのため、オゾンを使用しない機械と2台を使い分けて作業しております。
乾燥方法
着物の染料はとてもデリケートですので、天日干しすることにより変色する可能性が高まりますが、コストがかからないという利点があるため、天日乾しに頼る業者もあります。
扇屋の丸洗いは、光を遮断した暗室内で、32~33℃で一定に温度管理した状態で自然乾燥させています。
丸洗い(生洗い)料金
着物は解かず、有機溶剤によるクリーニングから仕上げまで含みます。
皮脂のつきやすい衿・袖口の汚れを下洗いしてからドライクリーニングを行い、室内の暗室にて乾燥させた後、アイロンで仕上げをします。生地にあたり(アイロンの熱などにより生地が潰れ白く光って見えること)を出さず、ご着用時の皺(シワ)も薄くなりすっきりします。
丸洗い(生洗い)料金 | 料金(消費税込み) |
長襦袢・名古屋帯 | 7,150円 |
袋帯 | 7,700円 |
長羽織 ・ 羽織 ・ 道行 | 8,250円 |
長コート ・ 雨コート 無地・小紋・紬(大島・結城) 喪服 | 7,700円 |
付下げ | 8,800円 |
訪問着 | 8,800円 |
留袖 ・ 色留袖 ・ 振袖 | 12,100円 |
その他 | ご相談ください |
丸洗いと合わせて汗洗いをお勧め
汗のシミは丸洗いの作業と合わせて行うことをお勧めします。
丸洗いはドライクリーニング加工のため、油性系の汚れには非常に有効ですが、汗シミのような水分を含むシミは全くと言って良いくらい落とすことが出来ません。
汗は99%が水分と言われています。その他塩分や尿素なども含まれています。
当工房の汗洗いは、超音波洗浄機を使用し石鹸と水で生地の奥から叩き出すように洗います。
よく、汗染みは霧を吹いて乾いたタオルで吸い取ると良いと言われることがありますが、この方法では完全に汗を洗うことができず残留して、数年後大きな黄色い輪染みとして浮かび上がります。
汗洗いの料金
料金(税抜き) | |
両脇の汗 | 6,000円 |
背中 | 6,000円 |
その他 1か所につき | 3,000円~ |
サービス一覧
きもの工房 扇屋で主に取り扱っている着物修復サービスの一覧です。染み抜き、洗い張り、サイズ変更などお客様のご要望を伺い、お着物に最適なお手入れをご提案いたします。お気軽にお問合わせ下さい。