【雪を使わない雪晒し】

雪晒しとは、麻の生地で作られた着物を雪の上に並べ太陽の光を利用し漂白する方法を言います。

新潟の冬の風物詩として有名な光景です。2月下旬から3月にかけての天気が良く安定した時期に行われます。

雪晒しにより麻糸が綺麗になる原理を考える

雪晒しの仕組み図

雪晒しにより麻糸が白く綺麗になることは、昔からの伝統技法としてよく知られています。

雪晒しは太陽と雪の力、そこにオゾンが発生することで漂白が可能となります。オゾンは地球に注がれる太陽の光の中の紫外線の一部により発生します。

ここからは、きもの工房 扇屋で繰り返し行ってきた実験結果をもとに、雪を使わない雪晒しについて説明致します。

麻の生地は、水に浸かる時間と比例して汚れが落ちていくため、何時間もの間、着物を雪に触れさせることで汚れが落ちると考えられます。当工房では、雪を使用せずに水を使うことでもこの効果は得られるという仮説を立て、オゾン発生機を使用し、汚れた麻の着物が漂白できるかどうかの実験を行いました。

上の写真は左右とも同じ麻の生地ですが、左側はオゾン不使用、右側はオゾンを使用しました。

両方とも同じ様な変色が見て取れましたが、右側は明らかに漂白されたことがわかります。

この実験で、雪がなくてもオゾンによって雪晒しと同様の効果が得られることがわかりました。

きもの工房 扇屋が考える『雪晒し』とは

当工房では、夏が近付くと麻の着物のお手入れをご相談いただくことが多く、その際に『雪晒し』をお勧めしてきました。

雪晒しが出来る時期は冬の終わり頃であるため、折角ご相談いただいても納品は翌年の春過ぎとなり、麻の着物をこの夏に着用したくてご相談頂いたものの「今年の夏は着用出来ません」とお伝えすることが残念でなりませんでした。

お客様のご要望に答えられないのが悔しくてこの実験を始めました。

何度も試行錯誤を繰り返し、現在では雪を使わない雪晒しの方法を確立でき、仕立て上がりの状態でもムラなく漂白が可能となりました。

雪を使わない雪晒しの料金

雪晒し料金料金(消費税込み)
麻仕立て上り雪晒し33,000円
反物持ち込み27,500円
洗い張り時オプション22,000円
雪を使わない雪晒し料金表

サービス一覧

きもの工房 扇屋で主に取り扱っている着物修復サービスの一覧です。染み抜き、洗い張り、サイズ変更などお客様のご要望を伺い、お着物に最適なお手入れをご提案いたします。お気軽にお問合わせ下さい。