着物の袖口洗いをマスターしよう!ベンジンを使った着物のお手入れ方法

着物の袖口は、日常的な使用で汚れが溜まりやすい部分です。特に、袖口に触れる手や腕の皮脂などの汚れは、放置すると繊維の中に染み込み、取れにくくなります。今回は、ベンジンを使用したプロの袖口洗い技術を詳しく解説します。

わかりやすい手順とコツを紹介します。一連の流れを覚えて、ぜひ実践してみてください。

袖口洗いの重要性と難しさ

袖口は、着物の中でも特に汚れが目立ちやすい箇所です。着物を美しい状態で保つためには、定期的な袖口洗いが欠かせません。衿洗いと同様、ベンジンを使用した手法は非常に効果的ですが、袖口洗いは動きが複雑なため、初めて作業される時は、少し難しく感じられるかもしれません。

袖をひっくり返したり、袖口を回したりと、動きが多くなるため、最初は手順を確認しながら順序や方法を覚えてください。その上で作業することをお勧めします。一度コツをつかめば、着物だけでなく長襦袢にも応用できるため、お手入れが格段に楽になります。

袖口洗いの画像

ベンジンを使った袖口洗いの準備

袖口洗いをスムーズに行うためには、道具の準備が重要です。以下のものを用意してください:

  • ベンジン:薬局やAmazonなどで販売される、市販のベンジンを使用します。引火性があり、揮発性が高いため、『ベンジン着物の衿洗い基本編』をご覧になってから作業を進めてください。下記厳禁、必ず換気を行いながら作業しましょう。
  • 霧吹き:ベンジンを均一に吹きかけるために使用します。(次回、作り方の動画をアップします。)
  • ブラシ:馬毛のブラシを用意します。硬すぎるブラシは生地を傷める可能性があるので避けましょう。
  • 晒し布:ベンジンの拭き取り用です。きれいに洗ったものを使用してください。
  • ドライヤー:冷風で乾燥させるためのものです。
  • 作業台:ベンジンで色落ちしない机

動画を確認し、袖の動きをシミュレーションしておくと作業がスムーズになります。特に初めての方は動画を何度も確認して、手順を頭に入れておきましょう。

実際の作業手順(4つのステップ)

袖口周りをぼかす

袖口の汚れを効率よく落とすためには、ベンジンを霧吹きで袖口布付近を暈すことが重要です。

霧で暈す上での袖の動かし方

  1. 袖を机の上に広げ、袖底が手前に来るように置きます。
  2. 袖口布の周りに霧吹きでベンジンを吹きかけます。
  3. 袖を軽く持ち上げて、袖山が手前に来るように動かします。再び袖口布に霧吹きをします。

これを行うことで、汚れが輪ジミにならないようにぼかす効果があります。

ブラシで洗浄する

ブラシを使って袖口の内側を3回に分けて洗います。

  1. 机に接している面から作業を開始します。両手で袖口の中心を持ち、袖を浮かせて位置を調整します。
  2. 袖山部分を洗いやすい位置に配置し、ブラシにベンジンを含ませて汚れを洗います。
  3. 袖底をお腹で支えながら、残りの部分を洗います。細かい箇所にも注意しましょう。
袖口にブラシを当てベンジンで洗っている写真

晒しでベンジンを拭き取る

  1. 折り畳んだ晒し布を親指と人差し指で挟み、袖の表側と内側を優しく拭き取ります。
  2. 袖山の部分を忘れずに、さらしを引き抜くようにして拭き取ります。

この工程を丁寧に行うことで、ベンジンが生地に残らず、汚れもきれいに取れます。

ドライヤーで乾燥する

  1. 袖口を人差し指で引き上げながら、ドライヤーの冷風を内側から当てます。
  2. 生地が完全に乾くまで冷風で乾燥させ、最後に袖口の山を手を『 L 』のように押さえ乾かします。
袖山を乾かす

袖口洗いのポイントと注意事項

  • 換気を徹底する:ベンジンは引火性があり、揮発性が高く、吸い込むと体に悪影響を及ぼすことがあります。
  • 輪ジミを防ぐ:霧吹きでぼかした部分の内側を洗い、汚れが広がらないように注意してください。
  • テストを忘れない:初めてベンジンを使用する着物は、必ず着物の目立たない部分でテストを行い、色落ちや生地の変化がないか確認しましょう。テストにおすすめの場所は下前の衿先です。

トラブル時の対処法

輪ジミができた場合は以下の手順を試してください:

  1. 輪ジミ部分に霧吹きで再びベンジンを吹きかけます。
  2. ドライヤーの冷風で裏側からのみ風を当てて乾燥させます。
  3. 2–3回繰り返すことで、輪ジミが目立たなくなることがあります。

これでも改善しない場合は、丸洗い(クリーニング店)をすることで解消できます。

特に黒色が滲みやすい泥大島やつむぎなどの織物は慎重な扱いが必要です。

職人技術を身につけるための練習方法

動画を何度も見て、動きや道具の配置を確認しましょう。特に、ベンジンの量や霧吹きの範囲、ブラシの動かし方をしっかり覚えることが大切です。着物の袖口を繰り返し練習することで、確実に技術は身につきます。

まとめ

ベンジンを使用しての洗いは、着物を長く美しく保つために欠かせない技術です。最初は難しく感じるかもしれませんが、動画やブログの手順を参考にしながら繰り返し練習することで、確実にスキルが身につきます。今回の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

これからも着物をご着用される方がチョコッとでもお役に立つ様な情報をアップしていく予定です。

ベンジン最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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