【着物の収納】防虫剤の注意点!~金彩加工を守る正しい使い方~
着物を美しく保つために防虫剤を使用する方は多いですが、使い方を誤ると金彩加工を傷めたり、着物にトラブルが発生する原因になることもあります。今回は、防虫剤の種類や注意点、そして着物のシミ抜きを意識した正しい保管方法について解説します。
- 1. 防虫剤の種類と特徴
- 1.1. ① 樟脳(しょうのう)
- 1.2. ② ナフタリン
- 1.3. ③ パラジクロルベンゼン
- 1.4. ④ ピレスロイド系
- 2. 防虫剤の使い方で着物を傷める原因
- 2.1. ① 防虫剤を大量に使いすぎる
- 2.2. ② 保管中の湿度が高い
- 2.3. ③ 防虫剤を複数種類併用する
- 3. 着物の収納と防虫対策
- 3.1. ① 防虫剤は1種類に統一する
- 3.2. ② 着物を収納する際の湿度管理
- 3.3. ③ 着物に防虫剤が直接触れないようにする
- 4. 防虫剤によるダメージが発生した場合の対処法
- 4.1. 金彩加工が変色・劣化した場合
- 4.2. 着物にシミや異臭がついた場合
- 5. まとめ

防虫剤の種類と特徴
現在、日本で主に使用されている防虫剤には、以下の4種類があります。
① 樟脳(しょうのう)
特徴:
・クスノキから抽出された天然成分
・強い香りがあり、比較的穏やかな防虫効果
注意点:
・揮発性が高く、密閉空間で長期間保管すると着物に匂いが移る
② ナフタリン
特徴:
・化学合成された防虫剤で、高い揮発性
・強い防虫効果があるが、独特の強い匂いが残る
注意点:
・長期使用すると、着物や収納家具にナフタリン臭が染みつくことがある
③ パラジクロルベンゼン
特徴:
・殺虫効果が非常に高く、速やかに虫を駆除
・防虫剤の中では即効性がある
注意点:
・金彩加工や着物の生地を傷めるリスクがある
④ ピレスロイド系
特徴:
・昆虫に選択的に作用し、人間や動物には低毒性
・無臭で、衣類や着物への負担が少ない
注意点:
・無臭な為、入れすぎると高濃度になるので用量を守る
防虫剤の使い方で着物を傷める原因
防虫剤の使用方法を誤ると、着物の金彩加工が痛むことがあります。主な原因は以下の3つです。

① 防虫剤を大量に使いすぎる
→ 過剰な防虫剤は化学成分が多くなり、金彩加工が劣化しやすくなる。
② 保管中の湿度が高い
→ 湿度が高いと防虫剤が化学変化を起こし、着物に影響を与える可能性がある。
③ 防虫剤を複数種類併用する
→ 異なる成分の防虫剤を同時に使うと、有害ガスが発生し、繊維の変色や金彩加工の劣化につながる。
特に、ピレスロイド系以外の「匂いの強い防虫剤」を併用するのは避けるべきです。
着物の収納と防虫対策
① 防虫剤は1種類に統一する
防虫剤の併用は避け、使用する場合は1種類に統一しましょう。もし違う種類に変更する場合は、収納場所をしっかり換気してから新しい防虫剤を使用してください。
② 着物を収納する際の湿度管理
・桐のタンスを利用する → 調湿効果が高く、防虫効果もある
・除湿剤や除湿機を併用する → 湿気を抑え、防虫剤の影響を軽減できる
③ 着物に防虫剤が直接触れないようにする
防虫剤は直接着物に触れないよう、畳紙の上に置くことも避けてください。収納ケースの上部に置くのが理想的です。防虫成分は上から下へと揮発するため、適切な配置を心がけましょう。
防虫剤によるダメージが発生した場合の対処法

金彩加工が変色・劣化した場合
・専門の染み抜き業者に相談
・早めの対応が重要(時間が経つと修復が難しくなる)
着物にシミや異臭がついた場合
・風通しの良い場所で陰干しし、自然に揮発させる
・洗い張りや、軽度の場合は、丸洗い(ドライクリーニング)で対応
まとめ
防虫剤は正しく使えば着物を虫から守る強い味方ですが、使い方を誤ると金彩加工を傷めたり、シミの原因になります。着物を長く美しく保つために、以下のポイントを意識しましょう。
✅ 防虫剤は1種類に統一する
✅ 湿度管理を徹底する
✅ 着物に直接触れないよう配置する
✅ 異なる防虫剤を併用しない
着物の収納にお悩みの方は、ぜひ今回のポイントを参考にしてください!
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