帯のシミと変色の原因と対処法は?放っておくとどうなる?

はじめに

大切な帯に現れる茶色いシミや黒ずみ、気になったことはありませんか?
今回は、実際にご相談の多い帯のシミと変色について、原因と対処法を2つのケースに分けて解説いたします。
放置してしまうと手遅れになることもありますので、ぜひ最後までお読みください。

ケース①:帯裏や無地場に広がる茶色いシミの原因は?

特に多く見られるのが、帯の裏地や「柄じまい」と呼ばれる無地の部分に広がる茶色系のシミです。
原因の多くは帯芯の変色。その主な原因はカビの発生長年の湿気の蓄積によるものです。

帯芯が茶色く変色してしまうと、表地に透けてシミが浮かび上がることがあります。
特に白系や薄い色の帯地では目立ちやすく、早急な対応が求められます。

帯芯の交換が必要な理由

「帯の丸洗いやドライクリーニングでシミは取れますか?」というご質問をよくいただきます。
しかし、帯芯のシミに関しては、外からの洗浄では改善できません
さらに、無理に染み抜きを行うと、厚手の帯地が傷み、薬品が残留する可能性もあります。

最善の対処法は帯芯の交換です。
もし、すでに帯地までシミが移っている場合は、専門的な染み抜きが必要になります。

ケース②:織帯(佐賀錦・西陣織)の前柄が黒ずむ原因とは?

もう一つよくある相談が、織物の帯の前柄部分が黒ずんでくるケースです。
これは、金糸・銀糸に使われる金属箔やフィルムの変色が原因です。

原因として考えられるのは:

  • 帯の折れによる摩耗
  • 汗や皮脂
  • 防虫剤やゴム製品、ビニールとの接触
  • 湿度や硫化ガスなどの化学変化

これらの要因によって、黒ずみ(硫化反応)が起こり、金属糸が黒く変色してしまうのです。

修復はできる?金彩加工による対処法

このような黒ずみは、丸洗いや通常のクリーニングでは落とせません。
完全に元通りにすることは困難ですが、金彩加工を施すことで目立たなく修正することが可能です。

まとめ|帯の変色やシミは早めの対応がカギ

帯のシミや変色は、早期発見・早期対処が何よりも大切です。
放置すると状態が悪化し、修復が難しくなることも。
気になるシミや黒ずみを見つけた際は、専門の修復技術を持つ店舗に早めに相談しましょう。

帯は、世代を超えて受け継がれる大切なもの。
これからも長く美しく着られるように、早めのケアを心がけましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿者プロフィール

kimono-ougiya

Follow Ougiya